子どもが幼稚園や小学校に通い始めると、その時間を利用してパートを始めるママたちが周りに増えてきます。
「子どもが家にいない時間を有効に使って,家計の足しになるお金を稼げたらいいな」
そんな気持ちが湧いてくる人は多いと思います。
看護師免許を生かしてパートができれば他のパートよりも圧倒的に良い時給で働くことができます。
更にこの先、子供が成長し手が離れもっと働きたくなった時に、
早いうちから短時間でも働き始め、ブランクを消しておけば将来の選択肢はぐんと広がります。
10か0かの働き方ではなく、0→3→5→10といったように子どもの成長段階に合わせて働く時間を増やし、働き方を変えていけることが理想的ですよね。
幸い、看護師のニーズは多岐に渡るため、ライフステージに応じて様々な働き方があります。
「潜在看護師を脱してそろそろ働き始めたいけれど、
今は子どもと過ごす時間は減らしたくない、最優先は今まで通りの子どもとの生活ペース」
そのような方針で、まず0→3の復職を目指す方のためにこの記事では、
💡幼稚園の延長保育、小学校の学童の利用なしの短時間勤務
💡夜勤なし
💡日祝日休み、週平日数回からで勤務OK
💡ブランクありからの復職OK
上記の条件で働けるおすすめの場を厳選し、潜在看護師復職先4選について解説します。
【短時間勤務】ブランクあり・子育て時間重視派におすすめ看護師復職先4選
①クリニックの午前診療担当看護師
💡子育て中の潜在看護師に、クリニック午前診療担当看護師はまず一番におすすめの復帰先です。
クリニックで働くメリット
- 日祝日が休み、午前診療は平日の午前9~10時から午後12~13時まで
- 採血・注射・点滴など基本的な手技を実践する機会がある
- 高度な技術を必要としない
- 様々な診療科の選択肢がある
- 自宅の近くで働くことができる
1. 多くのクリニックは午前診療平日の午前9~10時から午後12~13時まで
クリニックの午前診療時間帯は、子どもが幼稚園・小学校に行っている時間帯内でほぼ収まります。
多くのクリニックは午前診療と午後診療の間に中抜けという長めの昼休みを設けており、
午前と午後を同じ常勤の看護師で行うクリニックもあれば、
午前と午後をパートという形で看護師を分けるクリニックもあります。
「週2,3日から午前診療のみでOK」というパート看護師の求人もあるので、
まさに子育て中の人には理想の時間帯で働くことが可能です。
2.採血・注射・点滴など基本的な手技を習得・維持することができる
クリニック勤務において、採血・注射・点滴の手技はコンスタントに行う機会があります。
経験が無い、または苦手意識がある人にとっては一つ乗り越えなければならない壁ですが、
この手技ができる、できないの違いは、看護師免許を生かして良い時給で働くことができるかどうかの分岐点になります。採血・注射・点滴をほど良く実践し、スキルを維持できることは大きなメリットです。
未経験や苦手意識がある場合は、採用面接の際にきちんとそれを伝えた上で、スキル向上の前向きな姿勢があることを伝えることが重要です。
3. 高度な技術を必要としない
ブランクから緩やかに復職するためには、忙しすぎたり高度な技術を必要とする職場は避けたいものです。長いブランクでスキル面に不安ある人にとっても安心して入って行きやすい職場です。基本的にどの診療科クリニックでも採血、注射、点滴の手技は必要ですが、ほとんどの業務は診察介助(衣服着脱、診察台でとる体位の補助)、患者とのコミュニケーションなどです。特殊な手技は次の 4.で説明している診療科クリニックを選べばほとんど必要ありません。
4. 様々な診療科の選択肢がある
昔働いた経験のある診療科のクリニックを選べば、経験が生かせ、新たに覚えることが少なくて済みます。
自分が興味があり、専門性を高めたいと思っている診療科を選ぶのも良いでしょう。
ブランク前の看護師経験自体が浅い人は、まずは基本的な注射、採血、点滴などの手技を熟達させる機会が適度にあり、かつ特異的な検査や治療がない診療科を選ぶのが良いでしょう。
以下の診療科は子育てブランク後の復帰先としておすすめです。
- 皮膚科:採血、注射、点滴の手技を実践する機会がほどよくある。
求められる介助スキルが表在的な処置に限定されるため、精神的負担が軽い。
皮膚科では外用薬の知識が身につくため、将来的に外用薬を多く利用する高齢者の
施設へ転職する際に有利になる。 - 内科:薬を用いた治療が多く、他科に比べて設備がシンプルで
特異的な検査・治療機器が少ない。
(※内科でも消化器内科に特化したクリニックの場合は内視鏡検査、
呼吸器内科であれば呼吸器検査など、特異的な機器を用いた検査を行っている
クリニックもあるので注意)
5. 自宅の近くで働くことができる
地域の随所にクリニックはあります。自宅近隣のクリニックで働き通勤時間が短縮できることは大きな魅力です。
注意点としては、あまりに働き先を近隣にするとご近所さんや子どもと同じ学校の家族が患者となるため、プライバシーの観点から気まずくなることがあります。万が一トラブルが発生するとプライベートでの人間関係にも影響が及ぶリスクもあるため、それを避けたい場合は一駅二駅離れたクリニックを選ぶことがおすすめです。
クリニックで働くデメリット
- 勤務時間を数時間増やしたくなった時に融通が利かない
- 急な欠勤への対応が難しい
1.勤務時間を数時間増やしたくなった時に融通が利かない
将来的にクリニック内で勤務時間を延ばしたくなった時には、午前と午後診療の両方を担当することになります。間に長い昼休みがあるので、近隣であれば一時帰宅をすることは可能ですが、午後診療自体は多くが午後3時前後から午後18時前後までとなり、退勤できる時間は早くても19時頃です。
数年後に子どもの下校時間が遅くなり、16時、17時頃まで働きたいと考えた場合には勤務先をクリニックから別の業種に変更する必要があります。
2. 急な欠勤への対応が難しい
病院に比べて人員規模の小さなクリニックでは決まったシフトの変更が難しいことがあります。
パート看護師で回しているクリニックではそれぞれの看護師は週2,3日ずつ緩く働いている場合が多いですが、別クリニックを掛け持ちをしている人もいるため決まった勤務を変わってもらいにくい場合があります。
②訪問看護ステーション
訪問看護ステーションで働くメリット
- 土日祝休みが多く、パートの時短勤務可能なステーションが多くある
- 教育プログラムが整ったステーションもある
- 看護の知識技術を学びながら成長でき、将来性のある分野である
- 人間関係で問題が起こりにくい
1. 日祝日(土)休み、年末年始休み、時短勤務可能
訪問一件あたりを移動含めて60分~90分で計算されることが多く、パートなら週に〇日、午前中だけ〇件受け持つ、といっような働き方が可能なステーションも多くあります。
訪問する時間はあらかじめ決められているので、残業もほぼありません。
慣れてくれば直行直帰OKや、受け持ち件数を少しずつ増やして行けるなど、
柔軟性のある働き方が可能なところが大きな魅力です。
将来的に同一施設内で常勤としての雇用形態にレベルアップすることもしやすいです。
2. 教育プログラムが整ったステーションが増えている
訪問看護は臨床経験3~5年が必要と思われがちですが、新人看護師やブランクありの看護師も積極的に採用し、教育体制を備えているステーションが増えています。そのようなステーションを選べば、教わりながらペースを保って働くことができます。
最初のうちは先輩看護師の訪問に同行して見学から始め、徐々に自分がメインで動くのを先輩看護師に見守っていてもらい、その後ひとり立ちするのが一般的です。先輩看護師との同行期間をどのくらい設けてもらえるかはステーションによって異なるので、ステーション選びの際は確認が必要です。
またひとり立ちしたあとも、不安になった時に誰からどう指導を受けられるのかなどのフォロー体制がしっかりしているステーションを選ぶことも重要です。
3.看護の知識技術を学びながら成長でき、将来性のある分野である
訪問看護の対象者は小児から高齢者、症状も比較的軽症から重症・ターミナルまで幅広いです。少しずつ、受け持ちのケースを増やして行くことで身に付く知識とスキルは増えていきます。
基本的に訪問看護では病院の様な高度な医療機器を用いた医療行為の機会は少ないです。
その分、家庭での療養生活における工夫、判断、患者さんとその家族にも寄り添う力が身についていきます。
進む高齢化社会では益々需要が増えていく分野なので、時代のニーズに合ったキャリアをスタートできます。
4.人間関係で問題が起こりにくい
一人で療養者宅を訪問し、同じ空間に何人ものスタッフと長時間いることが少ないため人間関係の問題が起こりにくいです。訪問の前後にステーションに立ち寄ることはあり、その組織の一員としてチームワークが大事なことはたしかですが、主な業務は個人単位なので移動時間などほっと一息つける時間があります。
訪問看護ステーションで働くデメリット
- 夜間のオンコール対応が必須のステーションもある(要確認)
- 一人で訪問し看護を行うことがプレッシャーになる人もいる
- 運転免許を持っていない場合、受け持てる訪問先が限られる
1.夜間のオンコール対応が必須のステーションもある
訪問看護のオンコールとは:
在宅で療養する利用者さんの急変などに備えて、夜間も待機すること。
オンコールの担当になった日は専用の携帯電話を持ち、利用者さん宅からかかってきた電話に応じる。電話での対応だけで済むことも多いが、必要があれば緊急訪問をする。
夜間のオンコールに対してはステーションによってルールが違います。スタッフ全員で持ち回りのところや、常勤スタッフだけでローテーションするところ、またはオンコール対応自体がないステーションもあります。職場探しをする際には必ず確認しておきたいポイントです。
2.一人で訪問し看護を行うことがプレッシャーに感じる人もいる
訪問現場で一人になるため、一人で判断・対処しなければいけない場面に多く遭遇します。
難しい判断に迫られ困ったときには、電話で先輩看護師に相談できるフォロー体制が敷かれていることが多いです。しかしその人の性格によっては、現場が一人ということがとても負担になる場合もあるでしょう。
3.運転免許を持っていない場合、受け持てる訪問先が限られる
運転免許が必須のステーションは多いです。無免許でも自転車の利用で受け入れてくれる場合もありますが、訪問できる範囲が制限されてしまいます。
地域差もあります。東京23区内など駐車場探しが難しいエリアでは、自転車移動をメインにしているステーションもありますが、多くの場合は採用条件が運転免許必須となります。
③介護施設
介護施設とは:
公的施設に介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)、
介護医療院、ケアハウス
民間施設に有料老人ホーム、グループホーム
通所型の施設にデイケア、デイサービス
などがあり、一般的にそれらを総称して介護施設と呼ぶ。
介護施設の種類により、医療ケアニーズが高めか、終の棲家としての生活の場か、など位置付けが変わりそれに応じて看護師の役割も変化します。
一般的に医療ケアニーズの高い順から
介護医療院→老健→特養→ケアハウスと言えるでしょう。
どの施設でも行われる日常的看護ケアは
バイタルチェック、服薬管理、インスリン投与
などですが、
医療ケア度が高くなるにつれて医師の指示に基づき、
褥瘡の処置、経管栄養の管理、胃ろう、点滴、採血、痰の吸引、導尿、看取りやターミナルケア
などを看護師が行うこともあります。これらの医療行為に対応しているかは施設によって違います。
介護施設はあくまでも医療行為がメインの病院ではないため、利用者の医療依存度が高くありません。
介護施設で働くメリット
- ブランクからの再就職、時短パート勤務の受け入れに寛容
- 体力的負担が少ない
- 高齢者看護の知識・経験が身に付く
1.ブランクありや短時間パート看護師希望者も積極的に採用を行っている
残業も少なく勤務時間が規則的です。
医療技術や知識のアップデートに追われることもほとんどありません。
2.基本的な身体介護は介護士の業務とされているため、看護師は体力的にきつい業務はほとんどない
私生活で育児などまだ体力を使うママにとっては、仕事で体力を消耗しないことは大きな魅力となる勤務先です。
また長期的な視点から、自分が歳をとって体力が落ちてからも続けやすい職場と言えるでしょう。
3.高齢者看護の知識・経験が身に付く
高齢者介護現場での看護師経験、専門的な視点や技術は、今後ニーズが高まると予想されます。
介護施設で働いた経験は、のちに訪問看護にも役立てることができます。
介護施設で働くデメリット
- 常勤になると夜勤・オンコールありの場合がある(要確認)
- 看護師が職場内に少ない環境が不安な人もいる
- 賃金が安め
- 医療技術・知識の維持、更新が難しい
1.夜勤・オンコールの可能性
介護施設の種類により看護師の夜勤が必須であったり、オンコールの体制を取っていることがあります。しかし介護施設では「夜勤専従」という日勤はせずに夜勤のみ行う看護師を別途採用しているケースや、夜間はオンコールのみで対応している施設も多くあります。そのため常勤看護師でも夜勤なしの勤務形態が多くなっています。
2.看護師1人体制の場合のプレッシャー
介護士による身体介護ニーズが高い場であるため、施設規模によっては看護師1人体制のこともあります。
医師の常駐が義務付けられているのは介護医療院と老健のみで、医師不在の状況下では入居者急変の際は看護師が判断を行わなければなりません。多くは緊急時対応のマニュアルは設置されていますが、判断をする役割であることに精神的負担を感じる人もいます。
3.賃金が安めの設定の場合が多い
夜勤や残業が少なく、行う医療ケアも高度な技術を要さない分、賃金水準が病棟に比べると安い傾向にあります。
4.医療技術を磨きたい人にとっては物足りなく感じる場合も
自身の将来のキャリアプランによってある程度の医療処置技術維持をしたい場合は、介護医療院か老健を選ぶと良いでしょう。
④健診センター
健康な人への健康診断を行い、病気の早期発見や生活習慣の見直しにつなげるための施設です。
看護師の業務は主に以下の通りです。
- 採血
- 身長・体重測定
- 視力・聴力検査
- 心電図
- 婦人科・乳がん検診の補助
- 施設により健診後の生活習慣指導
健診センターで働くメリット
- 肉体労働がなく、単純作業が多い
- 対象者が健康体=急変がない
- 採血スキルが上がる
1.肉体労働がなく、単純作業が多い
一度ルーティンを覚えてしまえばそれを日々こなして行くだけで、医療知識のアップデートに追われることはありません。生活指導を看護師が行う施設であれば、予防医学の知識や保健指導のスキルが必要になることもあります。
携わる看護業務は限定的かつ単純なため、医療ミスを起こすとへの心配が少なくて済みます。患者介助の場面もないため、体力を使いません。
2.急変対応の心配がない
健康体の人が予約制で利用する施設なため、急変対応などの緊張感はありません。
3.毎日多くの採血を行う機会があるため採血スキルが磨かれる
のちに転職を考える際にも採血スキルに自信があれば強みとしてアピールポイントになります。
健診センターで働くデメリット
- 接遇スキルが低い、採血が苦手な場合採用されることが難しい
- 身に付くスキルが限られる
1.接遇スキル、採血スキルが初めから求められる
健康体の利用者に対しては、対患者とは少し違った接遇スキルが求められる傾向があります。
サービス業としての位置づけがより強く、丁寧な言葉使いや態度の接遇スキルが採用段階でチェックされます。
採血スキルも採用段階からアピールできる人が有利です。
接遇・採血スキルをまずトライアル採用で数日間チェックを行う施設もあります。
2.全般的な看護スキルが身に付かない
採血スキルは磨かれますが、全般的な看護技術・知識は身に付かないため、のちに他の分野へ転職をする際に生かせるスキルが限られる可能性があります。
まとめ
まだ子育て中で、短時間勤務からの復職を目指す人に合致する可能性のある復職先は
- クリニック
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- 健診センター
があります。
平日の日中短時間からの勤務が可能で、ブランクからの復帰にも寛容な職場がみつかりやすい業種です。
これらのどの業種で働くかによって身に付くスキルは変わってきます。
5年後、10年後、子どもが育ってくれば働き方を変えたいと思うかもしれません。
将来はどのように働きたいか今からビジョンを持って、自分に合った復職先を選択し、
短時間ずつゆっくりであっても、早めに一歩を踏み出して復職を成功させましょう。